過去、コンチェルトゲートの主に身内向け業務連絡用として存在していました(2010年秋。事実上の更新終了です)
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窓越しに見る雪山は、春もやを装い墨絵色
舞台は、美術館併設のカフェ
漆黒のショコラショーに雪のようなクリームを添えて…
カカオの甘い香りに包まれ、静かに静かに深呼吸
(そろそろ?…もう少しかな)
悪戯っぽく笑い、目配せで合図する
私とココットは”沈黙の助走”を楽しんでいた
ファンブルグ美術館。今春の催し物は-墨絵回廊-なる企画
決まりごととして、回廊の中では絶対に声を漏らしてはならないのだ
程よく沈黙に染まった頃、私達は回廊の中へ歩みを進めた
約束を守れますかな?
その初老の男は静かに、そして厳粛に問いかける
まるで心臓を素手で掴まれたような感覚
呼吸は乱れ、咽喉がカラカラに乾き
答えを求め、出口を求めて思考の牢獄を彷徨う
何故このような境遇に陥ったのか…
混濁する意識の中、一縷の望みを託してその過程を手繰り寄せた
フレイア大陸南部。一年以上前の話になる
銀鉱脈が発見され、シルバーラッシュに沸いた頃
供給を超えて需要が爆発した
私のような資本力のない零細職人に手が届く代物ではない
そんなタマゴに等しい駆け出しの私に、信用貸しで銀を卸してくれる人が現れた
カジュカジュ。彼はウィルノアに拠点を構える熟練した採掘士だ
その彼から久しぶりに手紙を貰い、有難いお話を頂いた
銀の採掘現場を見せてくれるというのだ
先輩職人から教わった言葉
いい職人になる第一歩。素材の生い立ちを知りなさい
私はこの言葉を思い返し、嬉々としてウィルノアへ旅立った
メタルラッシュ時代―
今でこそ地盤の弱体化、フレイア大陸南部の新鉱脈開発により、色褪せてしまったが
当時、店裏の穴(八百屋地下)は採掘士達の熱気で溢れ返っていた
現地では食料や杖、採掘師向けの商売も盛況で
まさに、もうひとつの都市だった
積極的な武器防具職人は、自ら採掘場へ足を運び、金属を買い求めたものだ
初めて採掘場を訪れた私の感想はこうだ
薄暗く荒涼とした岩石の地下世界は、月面への上陸を思わせ
採掘師達はフロンティアを求める開拓者