大人のための童話 ～ぎおんまつり～

「クリスマスなんて大嫌い」
少女メアリーはお留守番のまっさいちゅう
ここは地図にのらないギオンの里
なかみは問わないことで有名な運び屋さんたちの隠れ里なのです

クリスマスシーズンは里一番のはんぼう期
大人達のるすを狙ってぶらっくさんたの姿もちらりほらり
お留守番の約束
よるがあけるまでドアをあけてはいけませんよ？



 




 






 


コンコン…コンコンコン…
ただいまパパだよ。あけておくれよ
本当にパパなの？今夜はお仕事でいそがしんでしょう？
ふけいきで仕事がすくないんだ。ことしは一緒にお祝いしよう

ドンドンドン…。あけておくれよ？
シュガポでケーキを買ってきたんだ。切ったやつじゃなくて、まあるいやつ
いっしょに食べよう

まあるいやつ…！？
うんうんとメアリーは悩んでいます
魔がさすとはこうゆうことをゆうのでしょうか
まあるい誘惑に負けてしまったのです
そっとドアを開けて覗きこむメアリー。あぁ…いけない…
カチャリ…




さむっ！さむさむっ！
ドアの隙間からひょっこりと少年が顔をだします
彼は弟のサン太郎
「おねえちゃーん。ぶらっくさんたごっこ飽きたようぉ。外さむいよぉ」
それもそうだねぇとメアリーも同意します

つぎに姉弟はねっとらじおを楽しむことにしました
ねぎのでてこないらじお！だい４話があっぷされてるよ！
しかもゲストは大好きなねずみさんです
「今夜のねずみさんは、ねこかぶってるよねぇ」
「かぶってるのはねずみだよ？しんやに収録すればもっと暴走してくれるよ」
姉弟は口々に感想をのべあいます
らじおはこんなに賑やかだもの。さみしくなんかないよ…

ぽーぽーくるっぽー
いつのまにか姉弟は眠りこけてしまいました
コンコン…コンコンコン…
チッ…





カチャリ…
ただいま。いい子にしてたかい？
パパとママは姉弟を起こさないようにそっとベットへ”運び込み”
静かに語りかけます
ほら、欲しがっていたねずみさん人形とチェルトの貯金箱だよ
毎年さみしい想いをさせてすまないねぇ…
明後日はたのしいたのしい ぎおんまつり だから
…うんと楽しもう

クリスマスに年末年始。運び屋さんの里はおおいそがし
聖なる夜をゆっくり祝うことも
こたつにみかんで年の瀬を迎えることもできません
そんな忙しい合間をぬって１２月２７日の夕暮れどき
年中行事をひっくるめて祝ってしまうのが ぎおんまつり

子供にとっては、里がにぎわう楽しいハレの日
大人にとっては、子供たちへの罪滅ぼし
そして、つらい現実を炎でたちきり忘れる日でもあるのです


ヤサカ広場にまあるく組んだ松の木に火をともし
鐘の音にあわせてうたいおどる
雪景色をこうこうと照らす松明のいんえいは…
幻想的で…儚くて…切なくて…

ごんごん　カンカン　鐘が鳴る
ゆらゆら　パチパチ　炎が唄う
しんしん　こんこん　雪が舞う

ひとつふたつとゆびおりかぞえ
おやのかえりを　まーちぼうけ　マッチぼうけ
シュッとこすれば　ひのてがあがる
同じほうけなら　たのしく愉快に呆けにゃそんそん
こよいは　ぎおんまツリー
まあるいまつをかこんで　ほうけよ　ひをつけよ

ごんごんごーん　ごんごんごーん
しょぎょうむじょうの鐘のおと
ひとつふたつとゆびおりかぞえ
としをおくるにゃ　いささかはやい
ゆくとしくるとし　まっちぼうけー



大人のための童話　～ぎおんまつり～